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登進研バックアップセミナー44・講演内容

発達障害―見極めよう!子どもが得意なこと、苦手なこと~Part1~基礎知識編

プラスの特性を伸ばし、マイナスの特性を補う親の援助とは

水野 薫

講師:水野 薫(元福島大学大学院教授、Space Zero PDD心理・教育研究所所長)

現在、私は福島大学で臨床心理士をめざす若い人たちと一緒に勉強していますが、東京に戻ってきたときは児童精神科クリニックのカウンセラーも務めています。
今日のテーマは「発達障害」に関することですが、私自身もいろいろ経験してきて、とても疑問に思っていることがあります。それは最近、学校教育のなかで話題になっている「特別支援教育」についてです。「特別支援教育」というと、あたかも発達障害の子どもたちに対して手厚く教育的な支援をしようとしているように聞こえるかもしれませんが、実態としては発達障害に対する認識が甘く、特別支援教育を担う教員養成も間に合わない状況です。アドバルーンだけ上げて果たしてうまくいくのかなという感じがします。たとえば、発達障害の子どもたちが直面することの多い「二次障害」への対応ひとつとっても、そんなに簡単なものではありません。そうした疑問を投げかけながら、今日はみなさんと一緒に勉強していきたいと思います。

誤解されやすい子どもたち

それでは、ひとつの例を紹介することから始めましょう。
私が親しくしている大学生がいます。大学1年のときに教員とトラブルがありました。彼は、授業が終わると必ずといっていいほど先生に質問をしに行きます。たとえば、「講義のなかでわからないところをもう一度説明してほしい」といった感じです。それに対して教員は、「だったら、ちゃんと講義を聴いていればいいだろ!」という対応をしていました。それで大変なトラブルになってしまったのです。
その学生はアスペルガー症候群という障害をかかえており、平均以上の知的能力をもっていますが、同時に2つの作業をすることが苦手なために、講義を聴きながらノートをとることができないのです。つまり、メモをとっているあいだに講義がどんどん進んでしまって、話のつながりが理解できなくなってしまうのです。
だから彼は先生の顔を見て懸命に講義を聴いているわけですが、教員からみれば、「大事なところでメモもとらないから理解できないんだ」ということになるわけです。それで、彼に冷たい対応をしてトラブルになったケースです。

ここで私が言いたいのは、発達障害の人たちは、ごくごく一般的な普通の子どもたちであり、大人たちであるということです。古い概念の「障害者」(心身障害者)は明らかに普通の人と違うということがわかりますから、まわりの人も「あの人は苦労しているんだな」「大変なんだな」と思ってくれるので、まわりの人とのトラブルもそんなに多くありません。ところが、発達障害の人たちは、どこにでもいる普通の子どもたち、普通の大人たちなので、非常に誤解されやすいのです。

私の相談経験からすると、発達障害の人たちの多くは「友人関係がうまくいかない」「いじめにあった」「先生から理解されない」といった悩みを訴えることが多くて、勉強のことで悩んでいる子どもは意外と少ないのです。行動上の問題で相談に来るケースがほとんどです。ですから学校現場でも、学力の問題よりも、友だちとのトラブルなど行動面の問題で苦労している先生がたくさんいます。

もちろん子ども自身も困っていて、苦労しています。先生や友だちから、「あなたは、いつも人の話をちゃんと聞いてない」「だらしがない」「自己チュー」「あまのじゃく」「へそ曲がり」「自分のことは棚に上げて人のことばかり批判する」などとしょっちゅう言われ、友だちから非難され、先生からも叱られてばかりいる子が多いのではないでしょうか。

しかも、一見普通のどこにでもいる子どもたちであるだけに、よけいに誤解されやすいわけです。しかし、彼らはなんらかの発達的なかたよりを背景にもっており、脳の働きのちょっとしたところに引っかかりがあるためにスムーズな行動(活動)ができないのです。そのことをきちんと理解してあげないと、子どもたちにとんでもない苦労をかけたり、負担になるような期待をかけたりしがちです。その結果、子どもが二次的な障害を起こすというマイナスの構図ができあがってしまうのです。

トラブルメーカーのカオルちゃんと次郎くん

次に2つ目の例をあげましょう。
小学校5年生のカオルちゃんは、大好きな2人の友だちのために、混んでいる電車にかけこんで席をとってあげました。そして、「マリちゃーん、ユリちゃーん、席とったよー!」と大声で叫びました。しかも、足を大きく広げて席に座っているので、パンツまるみえです。マリちゃんとユリちゃんは恥ずかしくてたまりません。「みっともない! 混んでいる電車のなかで名前なんか呼ばないでよ!」と腹を立て、「カッコわるいから他人のふりをしよう」とそっぽを向いてしまいました。
でも、カオルちゃんにしてみれば、大好きな2人を座らせてあげたい一心でやったことなのです。発達障害のお子さんは、こういう行動をとりがちです。

3つ目の例は、次郎くんのケースです。
次郎くんは、太っていることをとても気にしている太郎くんに向かって、「暑いね。デブの人はよけいに暑いんだよね」と言いました。次郎くんは、太郎くんのことを本当に気の毒に思ってそう言ったのですが、太郎くんは顔を真っ赤にして、今にも爆発しそうに怒っています。もし太郎くんが気の強い子なら、次郎くんに殴りかかっていたかもしれません。そうなったら次郎くんは、「なんでボクが殴られなきゃいけないんだ!」と殴り返すかもしれません。こうしたトラブルも発達障害の子どもたちには起こりやすいのです。

カオルちゃんも、次郎くんも、人に不快感を与えようと思ってやっているわけではありません。友だちのために気をつかって一所懸命仲良しになろうと思ってやったことなのです。ですから、そこで先生が、「そんなことをしてはいけません」と叱ったとしても、「どうして? 何も悪いことしてないよ」「友だちのことを思ってやった(言った)のに、どうして叱られなきゃいけないの?」と聞いてくることもあります。実はこの2人は、私が実際に出会った子どもたちです。

カオルちゃんはその後、小学校高学年から断続的に不登校になり、中学校にはほとんど通うことができませんでした。友だちとうまくいかないことが大きな原因です。次郎くんは、言葉がすぎることが多く、友だちとよくトラブルを起こしていました。高校では先生の理解が得られず、中退させられてしまいました。
こうした苦労をしている子どもたちが、不登校になったり、学校で荒れて「ツッパリ」のレッテルを貼られることも少なくありません。

だから私は、発達障害の子どもたちについて学校の先生方に話すときは、次の点を強調するようにしています。つまり、「彼らは悪意があるんじゃない。気づいていないだけ。だから一方的に叱るのではなく、きちんと何がいけなかったのかを説明してください。そうしないと、友だち関係は決して改善しません」と。
子どもたちにとって、友だちのなかでうまく自分のポジションを得られないことはとてもつらいことです。以上のことを前置きにして、いよいよ今日の本題に入りたいと思います。

発達障害とは何か

まず、「発達障害」とは何かについてお話ししましょう。
一般的に発達障害というと、①LD(学習障害)、②ADHD(注意欠陥・多動性障害)、そして、③PDD(広汎性発達障害)のうち知的障害がないもの、この3つを総称して「発達障害」とよんでいます。③のPDDとはいわゆる自閉症のことで、このなかにアスペルガー症候群なども含まれます。

ただし、LD、ADHD、PDDははっきりと分類できるわけではなく、重複していることも多いのです。幼少の頃に「自閉症」と診断されたお子さんが、学齢期になったら「LDがあります」と言われたり、また、「ADHDではないかと思います」と言われていたのに、ある年齢になると「アスペルガー症候群」と診断されることもあります。極端にいうと、お医者さんが変わるたびに診断が変わるというケースもあります。
これは誤診ということではなく、それぞれの症状が非常によく似ているために、その時点でいちばん目立つ症状に焦点を合わせて診断するからです。

しかし、私たちカウンセラーや教育現場の人間にとって大切なことは、その子の医学的な「診断名」よりも、その子がいちばん困っていること、その子にとっていちばん大事なところ(助けを求めているところ)にアプローチしていくことだと思っています。
これから発達障害のそれぞれの特徴について説明をしていきますが、説明どおりのお子さんは一人もいないということを、あらかじめご承知おきください。

LD(学習障害)

LDとは、読む、書く、聞く、話す、計算する、推論するなどの活動のうち、どこかに著しい落ち込みがあって日常の学習や生活に支障をきたしており、しかも、その背景にあるのが、視覚障害、聴覚障害、情緒障害、環境要因などではないものをいいます。さらに、個別の知能検査でIQが70以上あることが大原則です。

とはいっても、計算や漢字の書き取りが苦手な子はたくさんいます。基本的に、計算や漢字の書き取りは、反復練習(学習)をしないとうまくできないものです。ですから、練習量が足りない子や、全体的に遅れのある子どもたちと、きちんと区別していかないとLDの正しい判断はできません。

LDの場合は、単なる量や質といったレベルの問題とは別に、何らかの視覚的な情報処理の仕方や、聴覚的な情報処理の仕方、あるいは視覚や聴覚を統合させる情報処理の仕方につまずきがあって、結果的に、書けない、読めない、計算ができないといった障害が出てくるわけです。したがって、ただ一所懸命、反復練習をさせたり、レベルを下げてかみくだいて教えるだけでは改善しないのです。

なお、LD、ADHD、PDDは中枢神経系の機能障害であり、主に大脳の機能に何らかの障害があるために起こると考えられています。そうした子どもたちは、学校のなかでは「やる気がない子」「ちゃらんぽらんな子」などといわれて、とてもつらい思いをすることが多いようです。

PDD(広汎性発達障害)

一般的にPDDの子どもたちには、3つの大きな障害があります。

①社会性の障害
人と上手にかかわれない、人の話の意図がよくわからない、人との距離感がつかめないなど。

②言語・コミュニケーションの障害
重度の自閉症の場合は、ほとんど声を発しない人もいます。一方、アスペルガー症候群の人は非常に弁が立ちます。ただし、共通点としてコミュニケーション能力に大きなつまずきがあるのが特徴です。人と話をしても一方的で相手が求めていることに応えられない、相手の冗談が理解できずに怒りだすなど、日常のコミュニケーション場面での言葉のつまずきがみられ、そのために友だちとケンカになったりすることも多いのです。

③同一性保持
何かに対して非常に強いこだわりをもっていたり、想像力のつまずき(自分が知っていること以外を想像するのが難しい)がみられます。
「こだわり」は、同じ状態を保っていたい(同一性保持)がために起こる症状で、小さい子や比較的知的な発達レベルが低い子に顕著にみられます。たとえば、家に帰る道順がいつも同じでないと帰れない子がいます。こういう子は、お母さんが途中でスーパーに寄ろうとすると、道にひっくり返って大泣きしたりします。また、電車でいつも同じ席に座らないと気がすまないので、座っている人を立たせたりする子もいます。そうしたことで困った経験のある親御さんも多いのではないでしょうか。

また、未知のことに対してイメージがわかないので、学校で移動教室があったり、遠足があったりすると、そのたびに気持ちが不安定になります。知らないことに対して、期待よりも不安のほうが先に出てしまうので、その結果、「学校に行きたくない」「嫌だ!」という気持ちも出てきます。
とくに運動会や学芸会など大きな行事のときは、いつもの時間割とまったく違うので、「同一性保持」が崩されてしまって、ものすごく不安になります。そのうえプログラムに従って先生がいろいろ指示を出したりするので、精神的に大混乱の状態になります。

こういう子どもたちは、たとえば学芸会の練習をしているときに、そのへんを走りまわってぜんぜん練習に加わろうとせず、終わる頃になっていきなりみんなの輪に入ってきて、ちゃっかりいい役をとってしまうような場合があります。先生にしてみれば、「調子のいい子だなぁ」と感じるかもしれません。
でも、この子たちの特性を考えれば当たり前の行動なのです。彼らは、練習のときに先生からいろいろ言葉で説明されても、言語の障害があるのでよく理解できません。走りまわっているように見えて、実は集団の輪の外からみんなを観察しているのです。そして、自分なりに状況がつかめてきたときに、はじめてみんなの輪のなかに入って一緒に練習ができるのです。サボっていたわけでも、気ままにやっていたわけでもなく、その子なりに一所懸命練習に参加していたのです。

こうした子どもたちには、口頭で説明するのではなく、写真や図を使って目に見えるかたちで説明をしてほしいと思います。前年度のビデオを見せたりするのもいいですね。こうした配慮をすれば、この子たちも走りまわったりせず、みんなと一緒に練習に参加できるはずです。

もうひとつ、日常的なことで起こりやすいのは、「自分はこうだと信じたこと」が絶対だと思い込んでしまう傾向があるということです。
たとえば、担任の先生が「今日はカンタン掃除ね」と言ったとします。「カンタン掃除」のときは、あまり時間がないので掃除はゴミ拾いだけで済ませてもいいことになっているのです。そこで、子どもたちは一斉に立ち上がって机の下のゴミを拾いはじめました。ところが、Aくんは隣の席の子を「サボるな!」と言って殴りつけたのです。
理由を聞いてみると、Aくんにとって掃除とは、机を全部教室の後ろに下げて前のほうからほうきで掃いて、床をぞうきんで拭いて、それから机を前に戻して残りのところを同じように掃いて拭いて…というものであり、それ以外のやり方は掃除ではないと思い込んでいるのでした。

PDDの子どもたちには、こうしたトラブルがかなりあり、まわりから「自分勝手」「自己チュー」と言われたりしますが、彼らは自分が正しいと思うことを主張しているだけなのです。ですから、トラブルが起こっても子ども自身は理由を説明できないことが多いので、まわりが理解してあげないと、とんでもない誤解を生んでしまいがちです。その結果、友だち関係がうまくいかなくなったり、先生からも誹謗中傷を受けたりして、本人が非常に苦労することになります。

高機能自閉症とアスペルガー症候群の共通点と違い

高機能自閉症(知的な障害のない自閉症)とアスペルガー症候群の共通点のひとつは、IQが70以上あることです。ただし、これは必ずしも知能が高いという意味ではありません。能力が高いと誤解して子どもに無理なことをさせると非常に傷つくことが多いので、その点を十分に理解してください。

一方、高機能自閉症とアスペルガー症候群の違いのひとつは、対人関係です。アスペルガー症候群の人たちは対人関係が下手ですが積極的で、高機能自閉症の人たちは消極的なところがあります。
もうひとつの違いは、言語能力やコミュニケーション能力です。高機能自閉症の人たちは、知的な能力が高くても話し方が単調だったりオウム返しが多いのですが、アスペルガー症候群の人たちは話し方が非常に流暢です。演説などをさせたら立て板に水という感じで、一般の生徒よりずっと上手にできるくらいの高い言語能力をもっています。

なお、高機能自閉症とアスペルガー症候群が同じものなのか違うものなのかについては、現在、専門家による研究が行われているところです。私個人としては、この2つは同じものなのではないかと思っています。

アスペルガー症候群の人たちは、言語能力が高いといっても、言葉の裏の意味はわかりません(言葉どおりに受けとってしまう)。だから、皮肉や冗談が通じないし、比喩的な表現もよく理解できません。
たとえば、高校生のお子さんのケースで、引越しのときにお母さんが「忙しくて猫の手も借りたいくらいだわ」と言ったら、本当に猫をつれてきたという話があります。
また、ある子は、女性の担任の先生が「疲れて足が棒になっちゃった」と言ったら、先生のスカートをめくって「どこに棒があるの?」と聞いたというのです。こうした話を聞くにつけ、アスペルガー症候群の人たちは本当に言語能力が高いのかというと、ちょっと違うような気がします。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)

「注意欠陥多動性障害」という診断名を使うのは、「DSM-Ⅳ」というアメリカ精神医学会の診断基準です。それに対して、「多動性障害」という診断名を使うのは、「ICD-10」というWHO(世界保健機関)の診断基準です。この2つは、ほとんど同じようなものだと考えてよいでしょう。

最近、事件がらみでADHDのことがよくマスコミに取り上げられますが、報道されるADHDの人たちのイメージは、落ち着きがなくて、粗暴でキレやすく、だらしがないというものばかりです。しかし、実際のADHDの人たちは必ずしもそういうケースばかりではありません。

「多動」の反対を「寡動」といいますが、その寡動タイプの子もいます。このタイプは授業中にほとんど発言せず、ボーッとしています。ほうっておくと刺激をきちんと受けとめられずに、どんどん学力が落ちていきます。どちらかというと消極的なタイプが多く、行きづまってしまって学校に行くのがつらくなることもあります。早く気づいて的確に対処してあげれば、本来もっている力を伸ばせるのですが、まわりの人が気づいたときには、ほかの生徒との学力差や二次障害が大きくなっていることが少なくありません。私の経験では、不登校になってはじめて、このタイプのADHDだったと判明する場合が多いように思います。

それに対して、多動衝動が目立つADHDのタイプは、教室のなかで動きまわってトラブルを起こしたり、小さい子の場合は教室からいなくなってしまうこともありますから、親御さんは目が離せなくて大変です。
問題は、この子たちが動きまわったり、いたずらをするたびに、叩かれたり、怒鳴られたりして育つと、この子たちも他人に対して同じことをやるようになるということです。友だちが自分の意に添わない行動をしたときに、いきなり手が出ることもあります。

ただし、本来ADHDの子どもたちは、ひょうきんで明るくて元気ですから、そうした特徴を伸ばしてあげることが大切です。スッキリと裏がなく、いろいろなことによく気がつくし、いいアイデアや企画を出すのも得意ですが、詰めが甘いところがあって、ゼロがひとつ多い予算書を出したり、納品日を1週間まちがったりということが起こります。そのへんをまわりの人がチェックしてあげることも必要でしょう。

このように、本来はとても好感のもてるタイプの子どもたちなのに、一部の子どもたちが粗暴な行動をしたり、一部のADHDといわれる大人が犯罪をおかしたことがあまりにも強調されすぎて、誤解が生じているのは残念なことです。アスペルガー症候群についても同様の誤解が生じているようですが、もともとアスペルガー症候群の人たちは、他人を攻撃するよりも、自分が悩むタイプなのです。

ADHDの症状には、薬(リタリンなどが有名)がけっこう効果があります。ただし、薬物療法はあくまで補助的な手段と考えるべきでしょう。発達障害は、薬で治るものではありません。薬は一時的に症状を抑えたり、二次障害を抑えるためのものに過ぎないのです。薬で症状が抑えられて本人がラクな状態になっているときは、適切なしつけや教育が行いやすいので、そこをきっちりやってください。薬だけ飲ませて、しつけや教育を怠っていては、子どもたちは育たないのです。

発達障害の子どもたちの行動上の困難

①LDに起因する行動上の困難
LDの子どもたちには、状況がつかめない、相手の話が理解できない、忘れてしまうといった困難さがあります。そのため、モタモタしたりスマートに行動できないので、「手を抜いている」「すぐラクをしようとする」などと誤解されがちです。親御さんは、そのへんのところをよく理解してあげてほしいと思います。

②PDDに起因する行動上の困難
PDDの子どもたちには、社会性の問題が最も顕著に出てきます。
自閉症の人たちの手記を読むと、「子どもの頃、世の中が混沌としていて怖かった」と書いている人がたくさんいます。彼らは、はたからみると勝手な行動をしているように思えますが、単にわかっていないだけなのです。その場の雰囲気や相手の気持ちがつかめない、暗黙の了解事項に気づかない、言葉の裏にある意味がわからないといった面があるからです。また、自分の論理にこだわることが多く、突然の変化や未知のことに対して強い抵抗をおぼえるという特徴があります。

③ADHDに起因する行動上の困難
ADHDは、まさに行動上の障害ですから、問題児扱いされることが多いのです。
小さい頃は、落ち着きがない、動きまわる、キレやすいといった程度で済みますが、中学生や高校生になると、いわゆる「ツッパリ」的な傾向が出てきて、衝動的にいろいろやってしまい、問題になることも少なくありません。
たとえば、そのへんに停めてある他人の自転車に勝手に乗っていってしまうこともあります。「盗む」という意識はなく、カギがかかっていなかったので軽い気持ちで乗ってしまっただけなのですが、まわりからは「自転車ドロボー」といわれてしまいます。
また、気に入らない先生に対して非常に反抗的な態度をとって、先生から怖がられてしまうような子もいます。もともと悪意のあるような子どもではなく、むしろ単純すぎて先のことが予測ができず、トラブルになることが多いのです。

④二次障害による困難のはじまり
二次障害は、だいたい小学校の中学年くらいから起こります。障害そのものよりも、この二次障害との闘いのほうが大変なのではないかと思います。二次障害は、年齢が高くなればなるほど大きくなることもあります。二次障害を起こさないように上手にしつけていくことが大切です。具体的な二次障害としては、以下のようなものがあげられます。
二次障害が高じて中高生くらいになると、かなりのうつ状態になったり、家庭内暴力が出てきたり、勉強にまったくついていけなくなり、どうしたらよいかわからない状態になったりします。

よくみられる二次障害の症状

  • 失敗しそうなことはやりたくない
  • 自分にはとても無理だからやらない
  • 誰もわかってくれない
  • みんなが自分をバカにする
  • みんなに嫌われている、外されている
  • いつも自分はソンばかりしている
  • 何をやってもうまくいくわけがない

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