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登進研バックアップセミナー34・講演内容

不登校―最近、子どもをほめたことがありますか?

小林正幸

講師:小林正幸(東京学芸大学教授)

◆なぜ不登校は続くのか

不登校の大きな問題のひとつは、その状態が「続いていく」ということです。それが不登校の特徴でもあります。
たとえば、みなさんも、「ちょっと疲れたから今日は会社に行くのがつらいなぁ」「今日は主婦業を休みたいなぁ」と思うときがあるでしょう。そんなとき、会社を休んでこっそり釣りに出かけたりすることでリフレッシュできて、翌日は元気に出勤したりするわけです。これをズル休みといいますが、たいていズル休みは一日くらいで、ずっとは続きません。
では、なぜ不登校は続くのかということから考えてみたいと思います。

その前に、なぜ子どもたちは不登校になるのかというと、ひと言で言えば、学校が嫌だからです。親の育て方なんか一切関係ありません。
「学校が嫌だ」というなかには、「友だちとの関係」や「先生との関係」などいろいろな要因が含まれますが、要するに、その子が学校に行きたくないと思ってしまうような嫌なことが学校のなかにあるわけです。それでも、「ちょっと嫌だなぁ」というレベルなら、ズル休み程度で済み、すぐに回復できるのです。

ところが、学校での嫌なことにギリギリまで我慢したあとの不登校であればあるほど、学校に行かないことで大きな安心感や安堵感が生まれてきます。そして、この安心感や安堵感が、「学校に行きたくない」という気持ちを強めるのです。

◆「学校が嫌だ」という思いを解消するには

その一方で、とくに不登校の初期にある子どもたちは、つねに学校のことが頭から離れません。そして、学校に行くことを考えると緊張感や不安感が生まれ、この緊張感や不安感は学校のことを考え続けるかぎり強まっていきます。
したがって、今日のテーマである「子どもをほめる言葉」「子どもをリラックスさせる言葉」を活用して、こうした緊張感や不安感をやわらげ、「学校が嫌だ」という気持ちを減らすようにすることが必要になります。

「学校が嫌だ」と感じるのは、嫌なことがあった学校のことを思い出すからです。ほかにも、「先生は心配しているのかなぁ」「友だちはどう思っているのかなぁ」といったことも思い出すのですが、「学校が嫌だ」という思いのほうが、はるかに強いのです。

この「学校が嫌だ」という思いは、くり返せばくり返すほど強くなります。そして、「学校が嫌だ」という思いと、「学校に行かないといけない」という相反する思いを同時に思い出すと、「学校が嫌だ」という思いがますまず強まっていくという法則があります。
「学校が嫌だ」という思いをなくすには、「不安を感じるな」と100回言っても効果がありません。不安と反対のものである「安心」や「リラックス」を与えてあげるしかないのです。

◆初期:「自分はダメな人間だ」という意識が強まる

よく不登校の子どもたちは「自分はダメだ」と思いがちで、自己肯定感が低いといわれますが、「自分はダメだ」と思っているから不登校になったわけではありません。不登校になったから、「自分はダメだ」と思うようになったのです。

では、どうして「自分はダメだ」と思うようになるのでしょうか。
それは、「学校に行かなければならない」という意思が、「学校に行けない」という現実に負け続けるために、「自分はダメだ」という意識を強めるからです。不登校の子どもたちは、毎朝、学校に行こうか行くまいかとバクチを打って、負けているようなものなのです。

みなさんだって、誰かとジャンケンをして10回連続して負けたとすると、もうジャンケンはやりたくないし、「自分はダメだ」という気分になってきませんか。たかがジャンケンですらそうなのですから、10日間連続して学校に行こうか行くまいか迷い続けて、行きたいと思いながら行けない自分と出会ってしまうと、「自分はもうダメだ」と思ってしまうのも無理はありません。

不登校の初期の頃は、たいてい朝は暗い表情で布団にもぐっていますが、今日は学校に行かなくてもいいとなるとホッとして、午後には元気になったりします。
その勢いで、お母さんに、「明日は学校に行くから」と言わなきゃいいことを(笑)言ってしまう。それを聞いたお母さんは、「本当? 頑張って行くのよ!」と、ついプレッシャーをかけてしまいます。でも結局、翌日は行けなくなり、お母さんから「どうしたの? 行くと約束したじゃない!」と責められて、よけいに落ち込んでしまうのです。

親心から、ついプレッシャーのかかるようなことを言ってしまうのはしかたのないことですが、その結果、学校に行けない自分が鮮明になってしまうために、さらに子どもは傷つくことになります。

◆安定期:子どもを支える人を増やす

こうした親子のやりとりも落ち着き、学校に行こうか行くまいかといった葛藤がなくなり、学校のことはもう考えないようにしようという段階になってくると、子ども自身は精神的に安定してきます。次に、こうした安定期を迎え、子どもが少し元気になってきてからの親の対応について考えてみましょう。

まず大切なのは、子ども自身のつき合いの範囲や生活領域を狭めないことです。いいかえれば、人との出会いのチャンスを狭めないということです。
友だちや塾なども含めて、人との出会いは子どもにとって大切な「居場所」につながる可能性があります。不登校の子どもたちのその後を追跡した調査研究によると、なんらかの居場所を見つけた子どもたちの約80%は、次のステップで立ち直ることが明らかになっています。
そして、その立ち直りのカギを握っているのが、その子の存在を認めてくれる家族以外の第三者との出会いなのです。

たとえば、次のステップでサポート校に進んだ子どもたちは、そこで、同じ体験をした友だちや、担任の先生、クラブ活動の顧問の先生など、「自分のことを理解してくれる人」と出会ったことが立ち直りの決定的なきっかけになっています。これらの人との出会いが、学校に行くことの意義や目的になっているのです。

こうした出会いのチャンスを失わないためには、社会的に閉じないことが大切です。子どもが社会的に閉じないためには、親のほうも社会的に閉じてはいけません。わが子が不登校になったことで、親が「世間に対して顔向けできない」などと考えていると、その意識はものの見事に子どもに伝わってしまいます。その結果、家の外に出ることを避けるようになったりするわけです。

◆再登校:子どもが自分で問題を解決していく力を育む

たとえば、何カ月かの不登校を経て、ようやく再登校にこぎつけたとき、親は「頑張れ!」と励ましたり、「やっとここまで来たわね」と嬉しそうな顔をしてしまいがちです。

しかし、いちばん大切なのは、その子自身が「やり遂げた」という自信につながる感覚をつかむことです。そのためには、親は背中を押すよりも、少し後ろにひっぱるくらいのほうがいいでしょう。つまり、「頑張れ」ではなく、「大丈夫? まだ無理をしないほうがいいんじゃないの?」といった対応です。そうすれば、再登校してみたけれど、またダメだったというときでも、子どもは「親に合わせる顔がない」とは思わないでしょう。

もうひとつ大事なのは、「ボク、学校に行けたよ!」と子どもが親に自慢できるような状況をつくってあげること。つまり、最後の手柄を自分の手でつかみとる感覚を、子どもに味わわせてあげるということです。それは、子ども自身が突破しなければならない瞬間であり、ほかの誰も手伝えない瞬間なのです。

◆ほめることで安心感も強まっていく

子どもにどう安心感を与え、どう自信をつかみとるかということは、日頃から親が子どもをどうほめるかということと密接に関連してきます。

子どもをほめるとき、「○○ができたから偉いね」「すごいね」というほめ方もありますが、それよりも、学校には行っていないけれど、学校のことをあれこれ考え続けているお子さんの姿そのものをほめてあげることが大切です。その子なりに学校に行こうか行くまいか一生懸命考えて、悩んで、頑張っている。そういう姿を認めてあげて、「あなたは頑張っていると思うよー」といったほめ方をすると、子どもはとても嬉しいと思います。

不登校の子どもとのかかわりのなかで何よりも必要なのは、子どもの緊張や不安をやわらげ、子どもの存在を肯定的にとらえ、何かをやろうとする行動への意欲を後押しし、それを一緒に喜べるような親のまなざしや姿勢なのではないでしょうか。そうした親の姿勢を具体的に表現する方法として、わが子への「とっておきのほめ言葉」「とっておきのリラックスさせる言葉」を見つけられるといいなと思います。

上手にほめたり、リラックスさせてあげることで、子どもは不安がやわらぎ、安心感を味わうことができます。そうした体験をくり返せばくり返すほど、安心感も強まっていくものなのです。

講演風景



わが子への「とっておきのほめ言葉」&「とっておきのリラックスさせる言葉」

講演風景登進研バックアップセミナー34で行われた小林正幸さん(東京学芸大学教授)の講演『最近、子どもをほめたことがありますか?~子どもが変わる、親も変わる、人の心を解きほぐすほめ言葉の不思議な力』のなかで、参加者のみなさまに書いていただいた「わが子へのとっておきの言葉集」です。
あなたなら、お子さんにどんな言葉をかけてあげますか。具体的な状況を思い浮かべながら考えてみてください。

◇ とっておきのほめ言葉

  • いろいろ考えてるのね。感心したわ!
  • 本当に頼りになるね
  • やっぱり笑ってる顔が一番いいね
  • 力は十分あるんだから、あなたのペースで動いてみたら?
  • 地道に努力してるよね。お母さんには、とてもできないなあ
  • あなたの笑顔が好きだよ
  • 成長したねえ
  • 大人になったね。あなたのほうが、私より気がつくようになったわね
  • 私よりよくできるじゃない!
  • しんどいのによくやってるよね
  • 出かけるときに留守番してくれるから、安心して行けるし助かるわ
  • あなたのおかげで、いろんなことを教えてもらったよ。ありがとう
  • 一人で起きられて、偉かったね
  • 洗濯物を入れてくれて、ありがとう。私よりきれいにたためてるよね
  • お母さん、あなたのこと大好きだよ
  • 一緒にいてくれるとうれしいよ
  • あなたと話していると楽しいよ
  • いい友だちがたくさんいるのね。あなたがいいからだよ
  • ほかのきょうだいには内緒だけど、お母さんはあなたが一番好き!

◇ とっておきのリラックスさせる言葉

  • いまはゆっくり休んだら?
  • 無理しなくていいと思うよ
  • ゆっくりやろうよ、急ぐことないよ
  • ずっと、とじこもっててもいいよ(笑)
  • 頑張るのは、また今度でいいよ
  • 力をためてる最中なんだよね
  • 何かしたくなるまで、ずっと待ってるからね
  • いつまでもゆっくり待ってるよ
  • 一日のんびりしようか(一緒にダラダラ過ごす)
  • お父さんも、昔、不登校してたよ
  • なんとかなるよ
  • 自分の気持ちに正直になってるのね
  • まだ13年しか経ってないもん。少しくらいゆっくりしてもいいよね
  • 大丈夫、心配ないって!
  • ずっと頑張ってきたから、無理しなくていいと思うよ
  • 学校の勉強だけが勉強じゃないからね
  • ママ疲れたなー、一緒にお茶してくれないかなー?
  • 不登校がきっかけで、家族がひとつになったよ
  • お父さんとお母さん、出かけるからね

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