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不登校克服へのQ&A

2009年12月6日開催の登進研バックアップセミナー70「不登校克服へのストーリー」において行われた、会場との質疑応答の内容をまとめた抄録です。

Q&Aの回答者は、以下の方々です。
回答者 小澤美代子(千葉大学大学院教授)
    木津 秀美(富士見市教育相談研究室長)
    霜村 麦 (臨床心理士)
    小林 和貴(サポート校教師)
    荒井 裕司(登進研代表)

※取り上げる質問は、当セミナーのアンケート等で参加者のみなさまから寄せられたものです。

※質問内容については、プライバシー保護のため、地域名・学校名など個人が特定されるような情報は一部削除したり、内容等を一部変更している場合があります。

※講師の肩書きはセミナー開催時のものです。

Q1 高校進学という節目を目前にして、どんなサポートをしたらよいか?

 中学校の教員をしています。進級、進学、卒業などの「節目」の時期は、不登校の子どもたちが動き出すきっかけになる場合が多く、なかでもいちばん大きな節目は中学校から高校に進学するときだといわれています。
 その節目を目前にひかえた今の時期(12月)、中学校3年生の不登校の子どもにどんなサポートをしたらよいのでしょうか?

A1 安心材料となる情報提供を(回答者:木津秀美)

 12月のこの時期、まずは親御さんの焦りをしっかり受けとめる必要があると思います。次のステップとして、安心材料になる情報を伝えます。たとえば、私はこれまで2000件くらいの不登校の相談を受けてきたので、そのなかから受験を間近にひかえた中学3年生の状況を打開できるような事例や情報を紹介しています。つまり、中3の12月段階でも絶体絶命ではなく、多くの可能性が残されていることを慰めではなく、事実として伝えるわけです。

 さらに、公立高校に進みたいといった具体的な希望がある場合は、不登校枠のある公立高校に関する情報提供を行います。加えて、高校入学後に思うように登校できない場合があることを考慮し、出席日数不足による留年などのリスクを避けるために、最近ではサポート校に入学し、その後、大学進学→社会人として自立するケースが少なくないことを伝え、サポート校の学校案内や資料を手渡すこともあります。なお、不登校の子どもたちを積極的に受け入れている学校については、中学校の進路担当の先生が最新情報を把握していることも多いので、関係性がうまくいっている場合は、担任の先生に相談してみることもおすすめしています。

 また、お子さんが動ける場合にはカウンセリングをしながら、受験で必要な面接の練習をしたり、面接のビデオを貸してあげることもあります。一方、お子さんが動けない場合は、親御さんにカウンセリングを通して、その子の状況に応じた進路情報を提供し、学校見学や学校の担当者との面談の必要性や、学校案内などの情報収集の仕方についてもアドバイスします。また、親御さんが集めた進路先の情報をダイレクトにお子さんに伝えると反発される場合もあるので、学校案内などの情報を居間などに何気なく置いておくことをすすめたりしています。

 中3の12月という時期になってから突然不登校になったケースでは、本人の志望校と両親や担任がすすめる高校が食い違い、どうしたらいいのかわからなくなって不登校になることが少なくありません。その際は、本人の気持ちを尊重して話を聞き、よりよい着地点を見つけることが大切になってきます。

 親御さんとして大切なのは、人生にはうまくいかないことが誰にでもあり、その子の場合はそれがたまたまこの時期に起こっただけで、不登校になったのはその子の能力や性格によるものではないと考えることです。そして、1〜3年後くらいには、必ずお子さんの元気な姿を見られると信じることです。難しいことかもしれませんが、今のお子さんの姿だけを見て、悲観的な判断をしないことがポイントです。

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Q2 高校進学を1年間見合わせるという選択肢はあり?

 中学3年の12月段階で不登校状態であり、しかも、ほとんど動けない子どもの場合、1年間、高校進学を見合わせるという選択肢はないのでしょうか?

A2 通学型の通信制高校やサポート校を検討しては?(回答者:荒井裕司)

 この時期にひきこもっていて動けないお子さんの場合、充電期間を設けて1年遅れで高校に入学すると、急激に自立の芽が出てくるケースも確かにあります。

 しかし、かつて高校再受験の予備校を設立し、いわゆる「高校浪人」の子どもたちと密接にかかわっていた私の経験からいえば、その子どもたちは予備校で勉強して1年もしくは2年遅れで高校に入学するわけですが、やはりそのことがコンプレックスになってしまうんです。その結果、浪人したことを隠そうとしてクラスメートとの交流も消極的になり、やがて人とのかかわりが苦手になってしまう。そういうケースをたくさん見てきました。

 ですから1年間充電期間をとるよりも、できれば浪人せずに高校に入ることをおすすめします。ただし、全日制の普通高校は欠席が重なると留年になってしまうので、このお子さんの場合は、出席日数に縛られない通学型の通信制高校やサポート校のほうがいいのではないかと思います。通学型の通信制高校やサポート校は、出席がままならなくてもレポート提出やスクーリングによって単位が取得できるので、まずは、そういう学校に相談に行ってみたらいかがでしょうか。

 そして、その学校の先生と面談し、お子さんをどのようにサポートしてもらえるのかを具体的に話し合うことによって打開策が見えてくると思います。つまり、不登校を克服するためのその子に合った3年間のメニューを、学校と一緒に作り上げていくわけです。

 なお、ひと口に通信制高校、サポート校といっても、学校によって不登校支援の質やメニューはさまざまですから、学校見学や面談を通して、その子にふさわしい雰囲気やシステムの学校を焦らずに探すことが大切かと思います。

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Q3 学校とどう上手につきあうか?

①子どもが不登校になってから保護者会に出たり、担任と連絡をとるのがつらくなりました。このままではますます学校から遠ざかってしまうようで不安です。


②担任の先生が熱心でよく家庭訪問に来てくれますが、子どもは絶対に会おうとしません(その先生が嫌いなわけではない)。いい先生だけに申し訳なく、最近は先生が来るたびに気が重くなります。


③小5から不登校になり、現在は小6です。来年から地元の中学に通う予定ですが、入学前に中学校に相談に行ったほうがいいでしょうか。夫は、特別扱いされるとかわいそうだから、中学校には何も言わないほうがいいと言います。

A3 親御さんの基本スタンスは「お子さんの側に立つ」こと。
   そのうえで学校との協力関係づくりを
(回答者:小澤美代子)

 まず、①のご質問ですが、保護者会や担任と連絡をとるのがつらくなるのは当然のことです。基本的には無理をしないほうがいいと思います。子どもが不登校だからこそ保護者会には出席しなきゃとか、担任の先生に毎日連絡をとらなければと自分を追い込むと、お子さんのことだけでも大変なのに、さらによけいなストレスを抱えることになってしまいます。
 保護者会で他のお母さんたちと話をするのが楽しいとか気分転換になるのであれば別ですが、負担になるようなら、あまり義理立てする必要はないし、それをやるべきだとか、気が進まないのに出席するのは避けたほうがいいと思います。

 ただし、担任の先生と連絡をとらないと疎遠になっていくのは事実ですから、率直に話し合ったほうがいいでしょう。たとえば、「たびたび連絡をするのはつらいので、連絡は1週間に1度でよろしいでしょうか」とか「月に1〜2回は連絡します」とか、正直な気持ちを伝える。そうすれば、担任もお母さんのつらい気持ちがわかるでしょうし、なんの連絡もしないと互いに疑心暗鬼になりがちですから、最低限の気持ちを伝えておくことは必要でしょう。

 ②の家庭訪問のこともよく相談で出てきます。熱心な先生ほどよく家庭訪問に来てくれるのですが、このときのお母さんの基本的なスタンスは「お子さんの側に立つ」ことです。
 先生が頻繁に来てくれることに対して、お母さんが申し訳ないと思うのは当然ですが、申し訳ないということで学校側に立ってしまうと、お子さんは誰にも応援してもらえなくなり追いつめられてしまいます。担任が玄関で「少しの時間でも◯◯くんに会えませんか?」と言ってきたとき、お母さんが「先生がせっかく来てくれたんだから…」と無理強いすると、子どもは「お前、どっちの味方なんだ。オレを守ってくれないのか?!」と感じてしまいます。

 だからといって、「家庭訪問はもうけっこうです!」とつっけんどんに断ると学校側の心証を悪くして関係がこじれていくことも多いのです。そこで必要になるのが、担任の先生とお母さんとのチームプレーです。先生には登校刺激というか少し引っ張ってもらう役割を担ってもらい、お母さんはお子さんを守るスタンスで、協力して対応していくことが望ましいでしょう。具体的には、「先生に来ていただくのは本当にありがたいのですが、しばらくは会えそうもないので、私との連絡だけでお願いできれば助かります」と伝えておけば大丈夫です。

 ③の進学に際しての問題ですが、お父さんは「特別扱いされるとかわいそう」と思っておられるようですが、1〜2年間の不登校を経て、中学校で復帰するケースというのは「特別扱い」が必要な状態です。「特別扱い」は全然悪いことではありません。特別な支援を必要としている子どもに対して支援体制を整えるのは当然のことで、それは排除しないほうがいい。

 具体的には、中学校入学前の2月下旬か3月初旬、つまりクラス分けが決定する前にご両親が揃って中学校を訪問されたほうがいいと思います。学校側の窓口としては、教頭(副校長)先生がふさわしいでしょう。学校側にお願いしたいことのひとつは「お子さんが親しい友だちと同じクラスにしてもらえないかどうか」。同じクラスにひとりでも気の合う友だちがいれば心強いはずです。もうひとつは、「できれば担任の先生も、不登校への対応に慣れているベテランの方にしていただきたい」ということです。

 こうしたお願いをすることに対して、「親のわがままだ」と思う学校も無きにしもあらずですが、学校側としても事前にお子さんの状況がわかっていればいろいろ配慮ができるわけですから、むしろ助かるわけです。ダメもとでお願いしてみて、その結果、ひとりでも仲のよい友だちがクラスメートになれば、どんなにスタートが心強いかしれません。

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Q4 不登校による学力不足をどうフォローするか?

 中学校では、3年間ずっと不登校で授業をほとんど受けていなくても、進級させられ、卒業させられてしまいます。つまり、学力的には小学校レベルのまま放り出されてしまうのです。そのような生徒に対して、たとえばサポート校では、どんな学習支援をしているのでしょうか。

A4 抜け落ちている部分をきちんと埋めていくことが、
   その子の成長と自信につながる
(回答者:小林和貴)

 学力の問題は、親御さんがもっとも心配していることではないかと思います。
 私が勤務するサポート校に入学してくる子どもたちは、小中学校で不登校だったり、あるいは一度は高校に入学したけれど、その学校が合わなくて転入・編入してくるケースがほとんどです。いじめで傷ついた子どもたちもいます。そんな子どもたちが安心して学べる環境づくりをモットーにした学校です。

 そのため、まず入学試験では、中学校での出席日数や成績は重要視しません。基本的には学力で合否の判定はせず、内申書もその子の状況を把握するための資料にすぎません。「今のままでいいよ」というメッセージが伝わるような入試対応をしています。入試では、国・数・英の3科目を30分で行います。「試験」というものに対して拒絶反応を示す子どもも少なくないので、できるだけプレッシャーを感じさせないように短時間での試験を行っています。

 合格した生徒には、3月頃にあらめたて中学3年生までの基礎学力試験を受けてもらい、その結果を今後の学習支援や習熟度別クラス編成の参考にしています。クラス編成時には、基礎学力だけでなく、生徒同士の相性なども考慮しています。
 英語と数学に関しては、さらに編成をし直して授業を行っています。なぜなら、不登校の子どもたちは、数学は得意だけれど英語はまったくダメというように、科目の好き嫌いなどによって学力の偏りがみられることが多いからです。そのため、数学は学力の高いクラスに編成し、英語は基礎から学ぶクラスに編成するといった、個別の対応をしています。たとえば、英語の基礎から学習するクラスではBe動詞から復習するなど、基礎中の基礎から学び直します。

 まず、その子の学力の抜け落ちている部分を把握して、その弱みを埋めていき、克服していくことが、その子の成長に結びつき、自信にもつながっていくからです。

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Q5 サポート校で登校できなくなった場合は?

 サポート校に入学しても、また登校できなくなってしまうケースがあると聞きました。登校できない生徒に対しては、どんな対応をしているのでしょうか。また、そのフォローによって、よい結果につながった例があれば教えてください。

A5 家庭訪問や電話連絡で学校とのつながりを絶やさない(回答者:小林和貴)

 先ほど荒井先生から説明がありましたが、サポート校や通信制高校(通学型)は、全日制の普通高校とは違って出席日数に縛られない学校です。ですから極端にいうと、本人の生活リズムに合わせて行きたいときに行けばいいし、行きたくないときは行かなくてもいいということです。

 とはいっても、不登校の子どもたちは真面目な子が多いので、「学校に行かなければ」という気持ちが強くて、自分を追い込んでしまう場合があります。そういう場合には、「無理しなくていいよ」「つらいときは来なくても大丈夫だよ」と繰り返し伝えて、登校に対するプレッシャーから解放してあげるよう心がけています。そのような対応をするなかで、しだいに肩の力が抜けてくると、「なんだ、行けるときに行けばいいんだ」と思えるようになり学校生活が楽しくなって、逆に登校できる日が増えてくるというケースをたくさん見てきました。

 それでも、なかなか動き出せない子どもたちには、家庭訪問や電話連絡をこまめに行います。単位取得のために必要なレポート提出だけは欠かさないように、学校に来られない場合は家庭でのレポート作成のサポートも行います。必要な補助教材なども郵送だけでなく、担任が届けに行ったり、家庭で一緒に学習することもあります。

 家庭訪問や電話連絡は、学習支援だけを目的としたものではありません。その子の家庭を訪れて一対一で話し合うことにより、学校では言えなかったこと、学校生活で気になっていること、やりたいことなどを引き出すことができますし、そうして親密な関係を築いていくなかで、少しずつ学校に興味や関心が向いてくることも多いと実感しています。

A5補足 学校外でのアプローチの重要性(回答者:霜村 麦)

 私が以前行った調査研究でも、電話連絡や家庭訪問など、学校外での情緒的なサポートやアプローチが多いほど、子どもの登校の機会は増えるというプラスの相関関係があることが明らかになっています。今、小林先生がお話になった取り組みも、そういう意味で効果的なものになっているのではないかと思います。

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Q6 ひきこもり状態から抜け出すには?

 不登校を軽く考えていたらだんだんひきこもり状態になり、今では自分の部屋からほとんど出ず、まったく外出しなくなりました。家の中が暗く、家族みんながイライラしています。どうしたらこの状態から抜け出すことができるでしょうか。

A6 長年、ひきこもりの子どもたちの家庭訪問を続けてきた経験から…(回答者:荒井裕司)

 私はひきこもりや不登校の子どもたちの家庭訪問をライフワークにしていますが、学校の担任の先生が家庭訪問をする場合とはちょっとニュアンスが違うかなと思っています。担任の先生は「学校」という看板を背負っていますから、子どもが拒否反応を示すことも少なくありません。一方、私の場合は、第三者的なかかわりというか、「ヘンなおじさん」的なスタンスですから、学校の先生方よりは抵抗なく受け入れてもらえることが多いです。

 家庭訪問のときに気をつけているのは、その子の状態を事前に親御さんから聞いて、できるだけ自然なかたちで会えるように作戦を練ることです。事前に本人に訪問することを伝える場合も、親御さんだけに伝えて突然会いに行く場合もありますが、最初は簡単な自己紹介だけして、立ち話程度で帰ってくることもあります。訪ねて行っても本人に会えない場合も多いので、そんなときは部屋のドア越しに「こんにちは。荒井と申します」と、顔写真入りの名刺にメッセージを書き込んでドアの隙間から差し入れ、「また、会いに来るからね」と言って帰ってきます。

 必ずやっているのが、前もって親御さんから本人の好物、清涼飲料水やポテトチップスなどの好みを聞いておき、それをお土産に持っていくことです。直接渡せない場合は、部屋のノブにぶら下げてきます。あとでそれを食べたり飲んだりしたか親御さんに確認し、私を受け入れてくれる可能性があるかどうかを判断します。もちろんまったく手をつけてくれない子もいて、私が持っていったコンビニのビニール袋がずっと廊下に並んでいることも少なくありません。

 その子の趣味から近づいてみることもあります。音楽、フィギュア、プラモデル、お笑いなど好きな趣味を下調べして、その話題で盛り上げ、リラックスできる雰囲気をつくれればいいかなと思っているわけですが、まあ、子どもたちが好きな音楽はおじさんにはチンプンカンプンなものも多く、ついていくのが大変です。また、その子が阪神タイガースのファンの場合には、私はジャイアンツファンで(笑)、携帯のストラップもジャイアンツグッズになっているものですから、そのときは取り外していったりと、できるだけ接点を見つけて、その子と話ができる状況がつくれればと思ってやっています。

 家庭訪問の原則は、決して無理をしないことです。その子の状況に合わせて、他人に会える状況ではないと判断したら、外から声だけかけて出直します。その際、「少なくともあなたの敵ではないよ」というニュアンスのことを伝えるようにしています。

 なかなか会えない状況が続いていても、私のお土産を食べたり飲んだりしている場合は、親御さんの了解をとったうえで強行突破することもあります。部屋の入口にバリケードを築いている子もけっこういますが、強行突破して「こんにちは」と声をかけるとニヤッと笑った子がいました。それは、「お前、こりもせず何度も訪ねてきて、とうとう俺の部屋に入り込んだな」という表情に思えました。次に訪問したときはバリケードが取り払われていましたから、いつか誰かが心の扉を開けてくれるのを待っていたのかもしれません。子どもには子どものプライドがあり、そう簡単には他人を受け入れられない気持ちもわかります。あくまで無理は禁物ですが、そんなときは様子を見ながらになりますが、強行突破も必要なのかもしれません。

 本人と会えるようになってからは一緒にゲームをしたり、何も話さず一緒にテレビを観て、そのまま帰ってくることもあります。話をしなくても、他人とともに過ごす時間をもてるようになったこと自体が大きな進展ですから。少し打ち解けてきたらドライブに誘ったりします。明るいうちがダメなら夜の街をドライブして、そのあとカラオケに行ったりしているうちに、「この人なら一緒にいても大丈夫」と思えるようになってきます。

 とはいえ、学校に戻るためには、対人関係や学力などまだまだ越えなければいけないハードルがたくさんあります。第三者である私と話せるようになったからといって、すぐに再登校に結びつくわけではなく、無理をすると逆戻りすることも少なくありません。じっくり時間をかけて、私以外の人と話す機会をつくったり、やる気になれば勉強の遅れはいくらでも取り戻せることを伝え安心感を与えたりして、次のステップへと徐々に背中を押してあげるようにしていきます。

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Q7 不登校だった子が大学や専門学校に進学できるの?

 不登校だった子どもがなんとか高校を卒業できたとしても、大学や専門学校に進学できるのか、その後の進路のことを考えると不安でたまりません。

A7 大丈夫、もちろん進学できます(回答者:小林和貴)

 近年、大学でも専門学校でも、一般入試のほかに「AO入試」や「公募推薦」という入試枠を設けるところが増えています。これらは学力だけでなく、面接を通して生徒の個性や人柄、意欲や目的意識、特技などをも評価基準とする入試スタイルで、いわゆる有名大学を含めてほとんどの大学が実施しています。たとえば、私の勤務するサポート校では、全入試合格者のうち「公募推薦」制度を使った合格が6割を占め、慶應大学、上智大学、青山学院大学、明治大学などに進学する生徒も増えてきています。

 実際の面接の場では、たとえばうちの学校では「ラオスに学校をつくろう!」というボランティア活動を行っていますが(募金やチャリティーバザー等による収益金でラオスに小学校を建設する取り組み)、そうしたボランティア活動や部活動、各種検定への取り組み実績などをアピールします。不登校経験を自己申告アピール書に記入し、面接でもその経験を自分の個性として堂々と語り、合格を勝ち取る生徒も少なくありません。自分の過去の苦い体験を、見事プラスに転換したケースといえるでしょう。面接対策としては、担任や学年主任、副校長や校長が面接官となって練習する機会を何度もつくり、細かいアドバイスをしながら自信を積み上げていけるよう配慮しています。

 推薦入試では、高校の成績が評価の対象になる場合もあります。サポート校の場合、同時に在籍する通信制高校での試験の成績も評価対象となりますが、その試験結果だけで成績を出すわけではなく、授業態度、レポート、スクーリングに対する取り組み方や姿勢も評価対象にして成績を出します。さらに、当校では相対評価ではなく絶対評価システムを採用しており、その子がどれだけ努力し頑張ったかが成績に反映されます。仮に試験が50点だとしても、学習等への真面目な取り組み姿勢がみられれば、5段階評価で4を付けることもあるわけです。そうした積み上げがあれば、評定平均4.5といった高得点の成績となることも珍しくなく、推薦入試の際の有力な参考資料になったりします。

 あるいは小論文を推薦入試の課題として提出する場合もあります。小論文対策としては、担任や国語担当教諭が中心となってきめ細かな指導を行っています。生徒のなかには書くべきテーマとしていいものを持っているにもかかわらず、それに気づいていない場合もあるので、これまでの体験や学校生活での取り組みなどを振り返りながら、自分のアピールポイントに気づきを与えながら文章化する作業を二人三脚で進めていきます。この小論文を仕上げる作業にはかなりの時間を費やすことがありますが、生徒の数だけドラマがあるといっても過言ではありません。

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Q8 医療やカウンセリングの必要性は?

①不登校になってから不安や緊張が強いので、スクールカウンセラーに精神科の  受診や薬の服用をすすめられました。精神科に行ったほうがよいでしょうか。


②精神科を上手に受診するための情報がほしい。

A8 最終的な目的はどこにあるのかを考えて、
   医療やカウンセリングを賢く利用する
(回答者:霜村麦)

 私は臨床心理士として医療現場で働いていますが、お薬を処方できる立場ではありませんので、心理的な立場からお答えします。
 まず、お薬についてですが、私が勤務しているクリニックでは不登校などのお子さんに対して診察後にお薬が処方される方とされない方の比率は半々くらいです。お薬に対する基本的な考え方を説明すると、たとえば風邪で熱が出て病院に行くと、解熱剤や鎮痛剤が出されたりします。これはどのような目的で処方されるかというと、体を休めるためです。熱を下げたり痛みを和らげることで体が休まり、それによって体力が回復する。その結果、風邪が治るということです。

 同じように、不登校のお子さんは心身ともに疲れきっていることが多いので、神経の高ぶりを抑えて不安を和らげながら、休養をとりましょう、という目的でお薬が処方されることがあります。さらに、感情の波を抑えて学校に行ったときの不安を和らげ、学校に行けたという自信や、行事などに参加できたという自信をつけることが、いちばんの治療になります。お薬の処方は、そこにつなげるための治療方法のひとつということです。

 最終的にお子さんに取り戻していただきたいのは、自分を肯定する感情、自信、自尊心です。発達障害のお子さんの場合には、対人関係を結ぶスキルを獲得することが重要になりますから、お薬を飲むことで、学校に行って落ち着いて過ごせる時間を増やし、その間にいろいろな体験を通して対人関係の能力を身につけること、これがいちばんの目的になります。お薬の処方は治療のひとつの方法であって、目指す目的ではないということです。

 「医療対応が必要になるのはどういうケースですか?」と親御さんから質問されることが多いのですが、そのことを専門的な視点で判断してもらうためにも児童精神科などの医療機関を受診してみてくださいとアドバイスしています。たとえば、不登校になりました、登校しぶりが始まりました、というだけで精神科を受診されてもかまいません。

 そうした医療現場でよくみられるケースとしては、今まで本人やご家族は気づかなかったけれど不登校の背景に発達障害が隠れている場合があります。あるいは、女の子の場合は「食欲」に症状が出たりしがちですが、それが摂食障害の前兆だったりするケースもあります。ですから、早めに医療機関に診てもらうことが大事だと思います。

 最近、お子さんにうつ病が多いといわれていますが、私が感じているのは、お子さんに多いのはうつ病ではなく、うつ状態だということです。人間はストレスフルな状況に対する正常な防御反応として、ちょっと活動を低下させる=うつ状態になることがあります。しかし、医療システム上、診断名をつけないとお薬を処方できないことから、とりあえず病名としてうつ病と診断されるお子さんもかなりいらっしゃるような気がします。

 なお、精神科と心療内科はお医者さんの領域ですが、カウンセリングは医療機関以外でも行うことができます。カウンセリングは保険の効かないことが多いので、民間のカウンセリング機関を利用すると1回2時間で◯千円という料金になりますが、児童相談所や教育相談センターなど公的な機関では無料で受けられるカウンセリングもあります。

 ただし、治療としてのカウンセリングを考えたとき、カウンセリングに合うお子さんと合わないお子さんがいると思います。つまり、お子さんが自分を客観的に見ながら、自分の状態を言語化して解決していこうというモチベーションがあるか否か。そこが大きなポイントになるでしょう。たとえば、女の子はカウンセリングの場面で「いい子」を演じてしまうことが多いのですが、そういうお子さんはカウンセリングには合わないのかな、と思っています。なぜなら、「いい子」でいることがその子にとってストレスになっている場合、カウンセリングの場面でも「いい子」を演じることになり、悪循環になってしまうからです。そんなお子さんには、あまりカウンセリングはおすすめしません。

 お医者さんとの相性もあるかと思いますが、何を基準にして医療機関を選べばいいのかについてアドバイスさせていただきます。ちなみに精神科の先生はたくさんいらっしゃいますが、お子さんを専門に診る先生はそんなに多くありません。
 そこでひとつの基準となるのが、お子さんの発達や成長のプロセスを長いスパンで見ることのできる先生であること。つまり、現在はこういう状態だけど、いずれこのように変化していくだろうという予測を立てながら、発達や成長の可能性を含めた治療をしてくれるということです。

 もうひとつは、不登校のお子さんの場合、家族や学校関係者を巻き込んだ治療がかなり有効になってきますので、お子さんをとりまく関係性を治療に取り入れ、周囲の人たちを上手に動かせる先生を選ぶとよいでしょう。

 また、入院治療などの経験が豊富な先生は、“治す”とはどういうことか、“治る”とはどういう状態なのかをよくご存じだと思います。最近は医師のプロフィールがネットや本などで調べられるので、治療経験についても調べたうえで受診し、そこが合わなければ、また別の医療機関を選ぶというやり方をされたらいかがでしょうか。

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Q9 カウンセリングを受けさせたいが、子どもが嫌がる

 子どもにカウンセリングを受けさせたいのですが、本人がどうしても行きたがりません。無理に連れて行くのはよくないと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

A9 自分も行ってみようかな、と思わせるコツ(回答者:木津秀美)

 私は、まず親御さんが相談に来られたときに、親御さんの気持ちが楽になるような対応を心がけています。親御さんの気持ちが楽になると、お子さんへの対応にも変化が出てきて、「じゃあ、ボクも相談に行ってみようかな」と思ったり、お子さんの気持ちがポジティブな方向へと変わっていくという好循環が生まれてきたりします。

 親御さんがカウンセリングをすすめても行こうとしない場合は、家庭でどんな親子の会話をしたらいいのか、具体的には「治療的会話」というか、子どもの気持ちに配慮した会話のあり方についてアドバイスします。お子さんが中学生くらいになると、親御さんが相談に行ってくると言うと、「行くな」と止める場合もあります。そんなときは、「お母さん教室というのがあってね、そこに通っているんだよ。あなたのことを相談しているんじゃなくて、母親としてどう子どもに接するべきかを勉強するためなんだよ」と伝えると納得してくれたり、お子さんの気持ちが少しずつ和らいでいくこともあります。

 ご夫婦で相談に来られた場合は、ひとつの作戦として、帰宅後にふすま一枚隔てたところにお子さんがいるような状況のなかで、意図的に「これまであの子の気持ちを理解してあげられなかったなあ」などと話をしてもらうこともあります。この作戦によって、「自分も行ってみようかな」と気持ちが変わり、相談に来るようになったお子さんもいました。

 お子さんが相談に来るようになったとき、では具体的にどんなカウンセリングをしているかというと、小学生の場合はカウンセリングというよりも遊戯療法(プレイセラピー)などを行うことが多いですね。たとえば、私が親御さんの相談にのっている間、お子さんは他の相談員と一緒にいろいろなものを使って遊んだりするわけです。うちの相談室ではカメを何匹か飼っていて、いちばん大きなカメは「ガメラ」と言うんだよとか(笑)、一緒に卓球をすることもあります。「ギターがあるよ」と言ったら来るようになった中学生もいます。相談室の近くに大学の馬術部の寮があり、そこでは馬の飼育もしているので、馬術部が訓練をしているところに連れて行ったり、公園を歩いたり、地域資源もフルに活用して少しでも相談室に馴染んでもらえるよう工夫をしています。

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Q10 きょうだいで不登校になって…

 1年前から中1の娘が学校に行けなくなり、今年の8月からは小3の弟も行かなくなりました。2人とも不登校になって戸惑っています。

A10 きょうだい同士で変に安定してしまう状態を防ぐには…(回答者:木津秀美)

 うちの適応指導教室にも、これまできょうだいで通っていたケースがいくつかあります。兄弟、姉妹、兄と妹などのケースです。お子さんひとりでも大変なのに、きょうだいで不登校となると、親御さんにとってこれほどストレスフルなことはありません。

 たとえば、小学1年生の弟さんと3年生のお兄ちゃんが不登校になった場合、親御さんは両方の担任の先生と定期的に話し合いをすることになり、2倍のプレッシャーとなってしまいます。そんなとき私たちは、親御さんの負担を少しでも軽くするために、どちらかの担任の先生に窓口になってもらい、2人に関する近況報告や話し合いが一度で済むようにしてもうといった配慮を学校にお願いしています。

 きょうだいで不登校になると、きょうだい同士で変に気持ちが安定してしまい、ふたりとも家から出ない状況が続く場合もあります。そんなときは動きのない状況を変えるために、どちらのお子さんからでもいいと思いますが、適応指導教室など「同じ思いをしている仲間が通っている場所があるよ」と教えてあげて、ちょっと背中を押してみることも大切です。お兄ちゃんが通いはじめて楽しいとなると、弟さんのほうも「僕も行ってみたい」となる可能性が高い。そうなれば、親御さんの負担も少しは軽くなり、気持ちも楽になるでしょう。適応指導教室で友だちができることも多く、いろいろな体験を重ねるなかで、そこでの生活がステップとなり、次の段階に進んでいくことも少なくありません。

 なお、きょうだいのどちらかが不登校になると、もうひとりのお子さんも不登校になるケースは少なくありません。たとえば、兄弟のお兄ちゃんのほうがまず不登校になったとしたら、弟さんのフォローをおじいちゃんおばあちゃんにお願いするとか、弟さんの担任の先生にも事情を話してサポートしてもらうなど協力体制を整えて、弟さんが不登校になる前に対策を打立てておくのもひとつの手です。

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Q11 不登校の兄と学校に行っている妹、ふたりにどう接したらいいの?

 高校1年から不登校になって2年になる兄と、中学1年の妹がいます。
 きょうだい仲はよかったのですが、先日、妹が万引きをしてしまいました。理由を聞くと、兄はいつになったら動き出すのか、こんな家が嫌になったと言います。2人にどう接していったらいいのかわかりません。

A11 あなたのことも心配しているんだよ、というメッセージを
    粘り強く伝えていく
(回答者:小澤美代子)

 ご質問のケースでは、まず、「お兄ちゃんは朝起きられなくなって、学校に行きづらい状態になっているんだよね。いちばんつらいのはお兄ちゃんなんだよね。あなたは幸い元気だから学校に通っているけど、もし苦しくなったら正直に言ってもいいんだよ」と、妹さんに率直に伝えることが大切だと思います。

 妹さんが万引きをしたのは、「お兄ちゃんだけじゃなくて、私のこともちゃんと心配してよ」というサインでしょうから、1回だけの話し合いでは解決しないと思いますが、「つらくなったら、あなたのこともちゃんと優しくしてあげるからね」というメッセージをきちんと伝えておけば、お兄ちゃんは特別扱いされているわけではないんだと理解してくれるようになると思います。 そのうえで、今、お兄ちゃんは不登校というつらい状態だけど、それはお兄ちゃんにとっては必要なことかもしれないよ、と話してみてください。「お兄ちゃんは学校を休んでいいのに、私は学校に行かなきゃならないなんて不公平だ」と妹さんが考えているとしたら、お兄ちゃんはお兄ちゃん、あなたはあなた、それぞれ状況が違うんだから、それは不公平じゃないよ、と伝えることが必要かもしれません。

 「お兄ちゃんが学校を休んで寝ているから、私も休みたい」という言葉が妹さんの口から出ているのかもしれませんが、そのときは叱るのではなく、何度でも粘り強く「あなたのことも心配しているんだよ」というメッセージを届けて、登校して頑張っている姿をサポートしてあげることが大切だと思います。

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Q12 親が元気でいるためにはどうすればいいの?

①私は、ひきこもって4年になる息子を心の底では許せず、愛せていないと思いま す。そして、そんな自分も許せず、好きになれません。こんな今の状態をなんとかしたいという思いは強くありますが、どうにもならず苦しいです。


②子どもが不登校になってから、ほとんど他人と話をしていませんでした。先日、このセミナーに来て、ひさしぶりに人と話すことができ、私だけではないんだとあらためて感じ、安心しました。でも、家に帰ると、やはり四六時中、子どものことが頭から離れず、心身ともにまいってしまいます。親が元気でいるためにはどうすればいいのでしょうか。

A12 ときには「お母さん」をやめてみる(回答者:荒井裕司)

 親は子どものためだけに生きているのではなく、かけがえのない自分の人生と時間を生きているんだ、ということを忘れないでほしい。それは、今後、お子さんが自立した人間として生きていくためにも大事なことだと思います。また、お母さんが自分のことばかり考えて悩んでいるという状況は、お子さんにとってとても悲しいことであると同時に、息苦しいことでもあります。
 気づいたら負のスパイラルに陥っていたということがよくあります。いつもの行動パターンから抜け出せなくなり、どうしても悪循環にはまってしまう。そんなときは、思い切っていつもと違う行動をしてみるのもひとつの方法です。

 パートの仕事に出てみる、いつもの駅よりひとつ手前で降りて歩くルートを変えてみる、おしゃれなカフェに入ってみる、友だちと居酒屋に行ってみる。スポーツジムで汗を流したり、映画を観に行ったり、プチ旅行に出かけるのもいいでしょう。私の人生だってあるんだよ、私にだって気分転換やごほうびが必要なのよと割り切って、ときには「お母さん」をやめることも大切です。ふだんは後回しにしがちな自分のやりたいことを優先してやってみましょう。
 また、こうしたセミナーや親の会など、同じ経験をしている方々が集まる場に顔を出し、グチを言ったり、友だちをつくったり。あるいは、胸にためこんだ思いにじっくり耳を傾けてくれるカウンセラーを利用するのもいいでしょう。

 親が楽しそうに自分の時間を過ごしていることは、子どもにとっても嬉しいことです。お母さんがパートに出たら、ひきこもっていたお子さんが部屋から出てきたり、家事を手伝ってくれるようになったというケースは決して珍しくありません。つくり笑顔ではなく、心の底からの笑顔をお子さんに向けられるように、お母さんだってひとりの人間として女性として、大切な自分の人生を生きていることをどうぞ忘れないでください。

A12補足 お父さんの役割は、お母さんの心と体をサポートしてあげること(回答者:小澤美代子)

 お子さんが不登校になった当初の数週間は親御さんも無我夢中で、自分の精神的な疲れに気づかないほど感覚がマヒしてしまうことも少なくありません。ところが、不登校状態が半年、1年と続くと、当然、最初の頃のハイテンションは続きません。そうなると、今の荒井先生のお話と方向がちょっと違うように思われるかもしれませんが、できるだけ普通の生活を保つことも大事かと思います。

 いつも緊急事態にそなえて臨戦態勢をとっていたら、とてもじゃないけど心も体も保たないので、ごく普通の生活を心がけて平常心を保ち、心の安定を図るということです。
 お子さんにも普通に「おはよう」「今日は寒いね」「ご飯ができたよ」と声をかけ、かつ返事を求めない。返事を求めるとどうしてもイライラしますから、そこは期待せずに声かけを続ける。そうした普通の生活のなかに、荒井先生がおっしゃったように自分の楽しみや趣味など気分転換になるものを少しずつ見つけていけるようになるといいですね。

 不登校になって3〜4年ほど経ったケースで、ようやくお子さんが動き出したとき、お母さんに「よく頑張ってこられましたね。その間、どんな生活をされていたのですか?」と聞いたところ、「どんなことがあってもウオーキングだけは続けていました。ひとりで歩いたり、近所の方と一緒に歩いたり、これがとてもいい気分転換になっていました」と言っておられました。

 ご夫婦で相談に来られたときに、「父親にできることはなんですか?」とよく質問されるのですが、お父さんとお母さんがそろって同じことをする必要はないと思います。お母さんが食事や睡眠のことを気づかっているからといって、お父さんも同じことをする必要はありません。実際、お父さんが3食ご飯をつくろうと思ってもおそらく無理でしょうし。

 お父さんの大事な役割は、お子さんと接する時間の長いお母さんの疲れた心や体をサポートすることです。「いつも何もできなくて悪いね。あの子、今日はどんな感じだった?」と聞いて、今日一日、お母さんがお子さんとどんなかかわりをして、どんな気持ちになったのか、お母さんの話をしっかり聞いて、その喜怒哀楽を分かち合うこと。そういうお父さんのサポートこそが、また明日も元気にお母さんがお子さんとかかわっていくエネルギーになるはずです。

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