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登進研バックアップセミナー30・講演内容

長期化から抜け出すきっかけづくり

長期化から抜け出すきっかけづくり
講師 菅野純(早稲田大学人間科学学術院教授)

3カ月続いたら気持ちの切り換えを

 不登校がどのくらい続いたら「長期化」と言うべきか。これは議論の分かれるところでしょうが、私は3カ月くらい続いたら、そこで一旦立ち止まって考え方を切り換えるべきだと思っています。
 というのは、3カ月以上続いた場合、不登校をしていることに何か意味があるんじゃないかと考えたほうがよいと思うからです。そうなったら、なんとか学校に行かせよう、元に戻そうとするはたらきかけよりも、「これはしばらく時間がかかるかもしれない」「その時間をできるだけ有意義なものにしよう」といった気持ちの切り換えをしたほうがいいのかなと思います。

 しかし、不登校状態が長く続くと、家族全体が少しずつ疲れてきます。
 お母さんお父さんが心のゆとりを失い、その状態でかかわっている子どもの心からもゆとりが失われ、さらには、担任の先生やカウンセラーにも心の余裕がなくなっていきます。

  人間というのは、心のゆとりを失うと“悪い人”になってしまうんです。昔、ある精神科の教授が、「善い人と悪い人の違いはない。あるのは、心にゆとりのある人とない人の違いだけだ」と言いましたが、私もそのとおりだと思います。
 人間は心にゆとりがあるときは、善い人になれるし、欠点もさらさなくて済むし、他人の欠点も許せる。ところが、ゆとりがなくなるとしだいに悪い面が出てきて、普段なら決して言わないようなことも言ってしまったり、その結果、お互いがつらい状態になったりするわけです。

 不登校の長期化によって親も子も“悪い人”になってしまうと、いろいろな悪循環が生じます。親子間で元気を奪い合うような言葉をぶつけ合う。やる気を削ぐようなことを言う。そして、お互いに相手をどんどん追いつめてしまう……。
こうした悪循環をなんとか断ち切らないといけない。
 子どもを大切に思っていればいるほど、親はその子の痛みやつらさを我が事のように感じるわけで、親子間の悪循環はある程度は避けられないものなのかもしれませんが、それを2年も3年も続けているのは好ましいことではありません。やはりどこかで立ち止まって、この悪循環を断ち切らなければいけない。「悪循環」を「好循環」に変えるためには、意識的な何かが必要ではないかと思っています。

 たとえば、お母さんお父さんが言った言葉が、子どもの心の傷になって残っていることがあります。
 子どもに元気やエネルギーがあるときは、母親に「お前なんか産まなきゃよかった」と言われても、「あんなこと言ってるけど、本当は俺のこと好きなんだ」と思えるんですが、不登校になって心が弱っていると、そうした言葉を額面どおりに受けとめてしまいがちです。親子だから何を言ってもよいとは限らない局面もあるということです。
 もし、わが子がガンを患って余命いくばくもないとしたら、どんな言葉を投げかけようかと気をつかうでしょう? 不登校の場合も、回復に向かって家族が努力をしなければいけないときには、意識的な気持ちの切り換えが大切で、普段とは違った努力や歩み寄りが必要ではないかと思います。

その子にとっての長期化の意味を考える

 不登校の長期化の意味は一人ひとり違いますが、大きく以下の4つに分けられるのではないかと思います。

①元気や意欲が回復するまで、あるいは不安が解消するまで、まだ時間がほしい
②学校を休んでいても心のエネルギーがたまらない、あるいは枯渇している
③外に向かって踏み出すきっかけがつかめない
④不登校で家に閉じこもっている以外の生き方がわからない

 この4つの中でいちばん多いのは、①の場合でしょう。これは体の問題に置き換えるとわかりやすいかもしれません。要するに、動き出すために必要な体力(心の体力)がついていないから、もう少し時間がほしいということです。加えて、「外に出たら怖そう」という不安もまだ解消されていない状態です。この状態で動けといわれると、かなりつらいはずです。体調が悪いときに10キロマラソンを走ってこいと言われるようなものでしょう。

 ②は、せっかく学校を休んでいるのに、心が休めていない状態です。いくら休んでも心のエネルギーがたまらず、休めば休むほど家族の間で衝突が起きたり、不信感が渦巻いたりして、子どもは徐々に疲弊していきます。このような状態のままでは長期化から抜け出すことはかなり難しいでしょう。これはできるだけ避けたい状態です。

 ③のような場合、そろそろ動き出すかなと思っていても、なかなかきっかけがつかめず、ズルズルと長引いてしまうことがあります。不登校が長期化すると、子どもにかかわる人が減っていきます。当初は先生や友だちが家に来てくれたりしますが、時間が経つにつれて連絡も間遠になり、訪れる人も減り、そうなると外に出る機会やきっかけも少なくなります。こうしたまわりの人たちの援助をどう上手にコーディネートするかが、親としての大きな役割のひとつになるだろうと思います。

 長期化したケースには、④のような場合もあります。閉じられた家庭環境の中で家族全体が疲弊し、お母さんお父さんがあまり社交的でなかったりすると、家族以外の人とかかわることがしんどくなってきます。親御さんまで半ひきこもり状態に陥ってしまう場合もあり、そうなると子どもがどう生きていくかというモデルを失うことになります。社会で活躍するとか、仕事で頑張るというモデルを失うわけです。そのため、子どもとしては生き方の選択肢が狭まってしまうことになりがちです。

元気や意欲はどうすれば回復するか

 ここからは、①〜④の状態について、具体的にどう対応したらよいのかをお話ししたいと思います。
 まず、「①元気や意欲が回復するまで、あるいは不安が解消するまで、まだ時間がほしい」という場合、どうすれば早く回復に向かうのでしょうか。
 それは、元気のモト、意欲のモト、安心のモトになるものを家庭内でたくさん与えることです。元気のモトはどうしたら与えられるのかというと、実に簡単なことです。家族で食事をするとき、ケンカしながら食べるより、みんなニコニコしながら食べたほうが元気になります。子どもが朝起きてきたとき、お母さんが不機嫌そうな顔でにらむより、「おはよう」と笑顔で言ってあげたほうが元気が出ます。

 その反対に、お母さんお父さんが歯に衣着せず、ストレートな感情を子どもにぶつけたら、たいていの子どもは反発したり怒ったりします。それは、子どもが健康だからこそ許されることであり、同じことを不登校の子どもにやってしまったら、心が弱った子どもをさらに弱らせるような結果になりかねません。
 結局、親子関係というものは、ほうっておくと悪循環に陥ってしまうものなんです。そういう危機感をもって、お互いが丁寧につきあったほうがいい。また元気が回復してきたら、冗談まじりにキツイことを言っても平気な関係が戻ってくるでしょう。

安心感を育むために必要なこと

 子どもが安心感を抱けるような家庭生活を送るには、どうすればよいのでしょうか。
 安心感といってもいろいろありますが、「お母さんお父さんは自分の気持ちをわかってくれている」と思えることもそのひとつでしょう。
 自分の気持ちを理解してもらえない状況は、かなりつらいものがあります。自分の気持ちとズレたところで親が熱意をもってはたらきかけてくると、子どもは苦しくなります。「水を飲みたい」と言っているのに、「ビーフステーキを食べろ」と言われているようなものです。親は心配のあまり善意ではたらきかけをするわけですが、気持ちがズレていたらその善意は伝わりません。

 大切なのは、子どもの心の声に耳を傾けることです。親は自分がどう思っているかを子どもに向かって主張しますが、それと同じように、子どもは自分の気持ちを親に話しているでしょうか。とりわけ不登校のように冴えない状態のときに、子どもが自分の気持ちを伝えることは難しいものです。
 なかなかお風呂から上がってこないので心配になって見に行ったお母さんに、子どもが湯船に浸かりながら、「お母さんも死にたいと思ったことある?」なんて聞いたりします。冴えないときというのは、そんな感じなんだと思います。

 子どもが自分の冴えない気持ちをどれだけお母さんお父さんに話しているかは大きな問題で、そこで、「わかってもらえている」とか「支えてもらっている」という思いがあれば、子どもの心は安心します。
 一方、子どもの不登校が原因で両親が毎日ケンカをしているといった状態は、子どもの安心感を奪ってしまいます。こういうときだからこそ家庭内で助け合う、まとまる、歩み寄ることを意識的に行うことが大切かと思います。

 いずれにしても、元気のモト、意欲のモト、安心のモトをたくさん与えるような毎日を過ごすことが第一です。わが家ではお互いに元気を与え合うような言葉がどれだけ飛び交っているだろうか? エネルギーを削ぐような言葉が飛び交っていないだろうか? みなさんも、ちょっと振り返ってみてください。

 当然のことですが、不登校が長期化して家にいる時間が長くなるほど、家庭環境が重要になってきます。学校に行っているときなら、家で少々嫌なことがあっても学校でウサ晴らしをしたり、先生や友だちにほめられたりすれば、気持ちのマイナス部分を補うことができます。しかし、家にいるしかない場合は、学校や友だちなど、マイナス部分を補うものがないだけに、家族が意識的に話しかけるなど、その部分を補う努力をすることが大切です。

第三者に援助を求める

 「②学校を休んでいても心のエネルギーがたまらない、あるいは枯渇している」という状況がないかどうかも考えてみてください。
 場合によっては、相談機関に行ってみるのもよいかもしれません。第三者の目で見てもらうことで、解決のヒントが得られるかもしれません。もちろんカウンセラーが問題を解決してくれるわけではありませんが、第三者的な視点で助言されることによって、膠着した状況に隙間が生まれることがあります。すると、それまで敵視していた父親に対して、「お父さんもたまにはいいこと言うなあ」といった見方ができるようになったりします。

 このように、ときには第三者に援助を求めることも大事です。
 ところが往々にして、しっかりした人ほど援助を求める能力に欠けていることがあります。援助を求めることを恥と思ったり、自分に実力がないと見られるのではないかと勘違いをする場合が多いのです。
 こういうケースは、意外と学校の先生に多いのです。ベテランで実力のある先生ほどひとりで頑張ってしまい、ストレスを抱えてうつ病ぎみになったりしがちです。こういう先生方には、よく「人に援助を求めることも能力のひとつですよ」とアドバイスします。援助を求めることは大事な能力のひとつであり、生きる知恵なのです。
 本当に困ったときは、担任の先生やカウンセラーに相談するなど、第三者の助けを借りながら問題を解決していく。そういうスキルを身につけることも必要かもしれません。

外に向かって踏み出すきっかけをどうつくるか

 「③外に向かって踏み出すきっかけがつかめない」「④不登校で家に閉じこもっている以外の生き方がわからない」のようなケースでは、フリースクールやフリースペースなど、ほかの子どもとふれあう場に連れて行ったり、自分とは違う子どもとしてのあり方を学ぶチャンスを与えることも大切かなと思います。趣味や遊びの仲間を見つけたり、サークルなどに参加するのもいいかもしれません。

 学校にも行かない子どもに遊ぶきっかけを与えるなんて…と、外の世界とふれあうことにストップをかけたりすると、せっかくのチャンスを失うことになります。何かよくわからないけれど子どもが外に遊びに行くようになったら、もしかするとそうやって自分の生き方探しをやっているのかもしれません。学校の先生だけでなく、子どもにとって“先生”という存在は、世の中のいろんな場面にいるということです。

 私が知っている不登校の中学生が、あるとき急に大人っぽくなったことがありました。その背景には、ゲームセンターのお兄さんとの出会いがあったのです。彼が遊びに行っていたゲームセンターをマネジメントしているお兄さんがとてもいい人で、彼の話をじっくり聞いて、相談相手になってくれたわけです。
 このように外の世界とふれあうきっかけをつくるためにも、あまり子どもを家の中に閉じ込めないことも大切かと思います。

長期化から抜け出すための条件

 「長期化から抜け出す」とは、ある状態からある状態へと変化することだと考えられますが、そのためにはいくつかの条件が必要です。
 まず、子どもの心の中に「長期化から抜け出したい」という気持ちが強くわいてくることです。子どもの言動にそれがみられない場合、それはなぜなのかを考えてみましょう。ひとつは、実際は長期化から抜け出したいという気持ちが高まっているけれど、それを口に出すと、「じゃあ学校に行きなさい」と言われることを警戒している場合。もうひとつは、心のエネルギーがたまる人格構造になっていない場合です。

 子どもって、ちょっとほめるとすぐやる気を出したりしますよね。それは、お母さんお父さんが心のエネルギーのモトを投げかけてあげると、それがすぐに走り出すためのエネルギーに変わるからです。
 ところが、心が弱っていたり、心の中に×(バツ)がたくさんついている子どもは、心のエネルギーのモトとなるほめ言葉をいくら投げかけても、エネルギーがたまりません。そういう子どもは、自己イメージがズタズタになっていることが多く、「自分はどうなってもいい人間なんだ」「自分はダメな人間なんだ」と思い込んでいたりします。×の数だけ心に穴が開いていて、その穴からエネルギーがジャージャーこぼれてしまうのです。
 こんなにエネルギーのモトを与えているのに、どうしてエネルギーがたまらないのだろうと疑問に思ったら、その子の自己イメージがかなり傷んでいるのかもしれません。その場合は、傷んだ部分の修復から始めるしかないのです。つまり、心の器の修復です。

 いずれにしても心の中が×ばかりだと、エネルギーはなかなかたまりません。そればかりか、自尊感情(自分は大切な存在なんだ、自分は価値ある存在なんだと思う気持ち)がもてなくなってしまいます。
 不登校が長期化すると、「こんな(ダメな)子だと思わなかった」とか言われて、それまで〇がたくさん与えられた子にも、×が与えられることが多くなってきます。そのため、お母さんお父さんがいくらエネルギーのモトを与えても、ジャージャー漏れるだけで、努力が徒労に終わることになりがちです。

 では、どうしたらいいのかということですが、私は親子というのはすごいなあと思います。カウンセラーの場合だと、相談に来た子どもに一度×を与えてしまったら、そして、その後カウンセリングに来なくなったら、×の修復はできません。しかし、毎日、顔を突き合わせている親子なら、×を剥がすチャンスはいくらでもあるのです。
 たとえば、「お母さんね、一昨年の3月4日の午後4時頃だけど(笑)、あなたなんか産むんじゃなかったと言ったけど、本当はそうは思っていないんだよ」というように修正すればいい。そうやって、心の中の×を取り除いてあげればいいわけです。子どもは忘れているかもしれませんが、お母さんが自分のことをそんなふうに思ってくれているんだということは伝わるのではないでしょうか。

心の傷を修復する

  長期化から抜け出そうという気持ちがわいてこないとき、もうひとつ考えられるのは、きつい言葉を投げかけられたりすることによって、人格的な傷が気づかないまま固定化してしまっている場合です。
 その結果、容易に人を信じなくなったり、人の善意を素直に受けとめられず、その裏側ばかりを考えてしまうといったことが起こる場合があり、その状態はなんとしてでも修復してあげる必要があります。そのためには、「親子関係っていいもんだ」「人間っていいもんだ」ということを子どもに感じとってもらうしかありません。

 小さいときに「人間っていいな」「安心できるし、温かいし、守ってくれるし、かわいがってくれる」という体験をたっぷり味わった子どもがいる一方で、「人間は怖いものだなあ」「いつも走り続けていないと叱られるし、頑張らないとバシッとやられる」と、人間のおぞましさや怖さを体験した子どももいます。
 そして、小さいときに人間のよさをあまり体験できなかった子どもが、大人になってからそれを取り戻すにはかなりの労力が必要です。しかし、その修復作業をやるやらないでは大きな違いがあります。
 今からでも遅くはありません。親子ならいつからでも始められます。人間はいいもんだ、お母さんお父さんはあなたの味方なんだということを伝える努力を始めてほしいと思います。

予期不安を払拭するために

家の中にひきこもっている子どもは、外の世界について情報不足の状態に置かれているため、勝手に空想をふくらませて、「外の世界は怖い」「学校は怖い」と思い込んでいる場合があります。
 なかでも不登校の子どもに多くみられるのが「予期不安」という状態です。何事もやってみないとわからないのに、やる前からダメだ、無理だ、失敗する、と悪いことばかり想像して、不安になってしまうのです。
 これに対する防御策としては、「安心して大丈夫なんだよ」というメッセージをくり返し伝えつづけることが重要であり、それにはまず、お母さんお父さんが身近な人に対して肯定的にかかわることが大切です。近所の人や職場の人など、他人に対していつも悪口を言っていたりすると、子どもは「やっぱり外の世界は怖いなあ」と思いがちです。

「電車で席を譲ってくれた若者がいたよ」「駅のホームで車イスを押してあげている親切な人がいたよ」など、外の世界が決して危険に満ちた怖いものではないことをいろんな手段で伝えていくことがポイントになります。子どもにとって外の世界が「学校」であるならば、「学校」が安全であることを証明するために具体的なはたらきかけをたくさんやってみるとよいでしょう。
 ある不登校の子どもが、担任の先生が家に来て、お父さんとニコニコ笑いながらお酒を飲んでいるところを見たら、「学校って怖くないんだ」と思って、その後、学校に行き始めたことがありました。両親が学校の先生や近所の人たちと親和的な人間関係を築くことによって、子どもも外の世界が安心できる場所であることを理解していくわけです。

 ときには社会に対して批判的な目をもつことも必要ですが、子どもに対してマイナスの社会観しか与えないのは、ある種、親の傲慢さだと思います。子どもは、ご両親とは違った社会と出合うかもしれないし、プラスの社会観もあるという余地を残しておくべきではないでしょうか。

まずは自分のいいところ探しから

 みなさんがこれまでの人生をふり返ったとき、ご両親からどういうはたらきかけをされたときに元気が出たかを思い出してみてください。子どもの心を元気にする親の言葉かけとは、どういうものなのか。ご自身の体験や記憶の中にある宝を掘り起こしてみましょう。それはお子さんへのはたらきかけの源になる、とても大切な作業です。人間は、おそらく7割程度は自分が親にされてきたようなはたらきかけをしているように思います。みなさんも、自分を支えてくれた言葉や励まされた言葉を、ぜひ子どもに投げかけてあげてください。
 たとえば、「お母さん、〇〇ちゃんのことをずっと信じてるよ」と、子どもに対する希望を伝えてもいいでしょう。あるいは、私は、わが子が親としての自分を育ててくれたと思っていますが、そうした子どもに対する感謝の気持ちを言葉にしてもいいかもしれません。子どもの心を温めるような言葉を、出し惜しみせず、いっぱい与えてあげてほしいと思います。そうした言葉は、後々まで子どもの心に残っていくような気がします。

 とはいえ、人をほめるためには、自分もたくさんほめられないとできないものです。「どうせ私なんか…」と心の中に×印がいくつもついていて、自尊感情が低ければ、人をほめることなんてできません。
 子どもを虐待しているお母さんについて調べてみると、自尊感情の低い人が多いことがわかります。「どうせ私なんて…」と思ってしまうような育ち方をした人が多いのです。だから、子どものちょっとした言動に「私をバカにするのか!」とカッとしてしまい、それが虐待につながったりするわけです。
 人をほめることのできる自分、わが子をほめることのできる自分になるためには、自分にはどんな長所があるかを、ご夫婦で話し合ってみるのもいいでしょう。あらためて言葉にすることで、心のエネルギーをもらえることがあります。そうやって、ご夫婦が、親子が、お互いにエネルギーを与え合うような家庭にすることが大切だと思います。

 人間はどんなときに元気が出てくるのでしょうか。たとえば、わが子に欠点や弱点のようなものが見つかったとして、それを一所懸命直そうとしても元気は出ません。
 注目してほしいのは、欠点ではない部分(長所、いいところ)です。そこをふくらませてあげることが大切です。
 不登校の子どもに対して、学校に行けないことを責めても何もいいことはありません。それより、「お母さんは〇〇ちゃんの『おはよう』という声を聞くと元気が出てくるよ」とほめてあげる。それによって、不登校であるためにどうしても目についてしまう欠点を、相対的に小さくしてあげるわけです。それが元気のモトとなって、突破できることがたくさんあるような気がします。
 ぜひ、ご自分のいいところ、お母さんお父さんのいいところ、そして、わが子のいいところをたくさん書き出して、それを言葉にしてみてください。

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