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登進研のチエブクロウ(2)ゲーム・ネット依存

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「登進研のチエブクロウ(知恵袋)」は、不登校について多くの親御さんが疑問に思っていること、悩んでいることを取り上げ、疑問解消や問題解決のヒントとなる情報をご紹介するページです。

 これらの情報は、これまで登進研が行ってきたセミナーの講演、体験談などから採録したものです。お子さんへの理解を深め、よりよいかかわり方を考えるうえで、お役立ていただければ幸いです。

 

◇ 子どもの言葉

「ゲームなんて3日もやればあきる。じゃあ、なぜやるかというと、考えるためにやるんです」

 

 小学校4年から高校入学まで、「行ったり行かなかったりという感じで不登校をくりかえしていた」という男の子。自分からゲームを取ってしまうと、一日中なにもしない。なにもしないと、荒れるしかない。ゲームが一種の精神安定剤のようになっていて、ゲームをやることで、ようやく考えられる状態になる、という。
 「ゲームをやっているときでも、ゲームのことよりも、進路のこととか、自分はなぜ学校を休んでいるんだろうということを考えていました」

 

「ゲームをしている時間だけは、不登校であることを忘れられる」  

 

 中学2年の秋から、クラスメートと担任によるいじめにより、学校に行けなくなった女の子。そのころは、完璧主義で、世間体を気にするタイプだったので、「学校に行っているのが普通で、行かないのは異常」「自分は普通の人間じゃない」と自己否定していた。ゲームをやめなさいと言われると、逃げ道を奪われてしまうようで不安だったという。
 歴史好きで、その後、大学では日本史を専攻。現在、不登校の子どもたちが学ぶ広域通信制高校で社会科を教えている。当時、好きだったゲームは「信長の野望」。

 

「ゲームは唯一のストレス解消法。おやじに酒が必要なように、僕にはゲームが必要だった」


 小学校4年から、「自分でもこれといって思いあたる理由もなく」学校に行けなくなった男の子。「あんまりやりすぎて、母親にゲーム機を金庫にしまわれちゃった」ほどのゲーム少年でもある。
 当時、父親は酒に酔って夜遅く帰宅することが多かったが、ある夜、「お前のことでイライラするから飲むんだ。ストレス解消だ」と言われたという。
 「じゃあ、僕のストレス解消法のゲームをどうして取り上げるんだ、と父親にくってかかりました。おやじには酒があって、なんで僕にはゲームがないんだ、と」
 ただし、ゲームはあくまでストレス解消の手段にすぎないという。
 「心の支えは、そのゲームをやりに来る友だちです。友だちは、よく学校が終わってから僕の家に来て、その日にもらったプリントを『学校に来なくても一応やっておけば?』という感じでさりげなく渡してくれて、一緒に少し勉強したり、ゲームにつきあってくれました」
 彼にとって、両親は支えになっていなかったのだろうか。

 「最近ようやく、自分にとって父と母は大きな存在だったんだなと気づきました。小中高と、毎日のように親とケンカをしていましたが、心の底では父と母が、いちばんの心の支えになっていたのかもしれません」

◇ お母さんの言葉

「パソコンは息子にとって大切な居場所」

 

 不登校になってからしばらくすると、息子はオンラインゲームに没頭するようになり、完全なひきこもり生活が始まりました。
 20時間ゲームを続け、8時間寝て、またゲームをするというような日々でした。ゲームをしながら食事をし、「忙しい忙しい」が口ぐせでした。入浴、散髪、爪切りなどもまったくしないで、カーテンを閉め切ったほこりの積もった部屋でずっと過ごしていました。

 何度かパソコンを使えないようにロックをかけたりしましたが、息子はすぐ設定を直して使えるようにしてしまいます。でも、参加していた不登校の「親の会」の先輩から助言をいただいて、パソコンは息子の大切な「居場所」だと考え、見守るように努力しました。「居場所を取り上げたら死んでしまうか、街に行ってやさしいお兄さんやお姉さんに可愛がられちゃいますよ」と言われたのが心に響きました。
  とはいえ、このままでは「ネトゲ廃人」になるんじゃないか、死んでしまうんじゃないかと、ゲーム会社が悪魔のように思えました。突然、夕方から「オフ会」に行くと言い出し、止める私に「俺を信じてくれ」と言うので、しかたなく送り出したこともあります。

 でも、今ふり返ると、オンラインゲームで知り合った、さまざまな背景をもつ友人とのつきあいを通して、普通では得られない人生勉強ができたようです。彼にとって、とても大切な経験だったと今では確信をもって言えます。

◇ 勉強はいいことでマンガやゲームは悪いこと。そういう見方はやめて、子どもが夢中になっているものを一緒に見てみる。

大木みわ(植草学園大学教授)

 

 不登校の子どもがマンガやゲームにのめりこんで心配だ、なんとかやめさせたいというご相談をよく受けます。そんなとき私は、「お子さんが夢中になっているものを一緒に見てみたらどうでしょうか」とアドバイスしています。

 「なぜ私までマンガを見ないといけないんですか。ぜんぜん面白いと思わないし、何週間つきあえばマンガを見なくなるんですか」と言うお母さんもいます。
 でも、そういう気持ちでかかわっているかぎり、何週間たってもダメなんです。ひとつでも面白いところを見つけて「面白いね」と言ったり、「あなたはどのマンガが好きなの?」と聞いてみる。そこからかすかなコミュニケーションの兆しが見えてきます。

 お母さんが一緒にマンガを読むようになったら、結果的に子どもがマンガから卒業し、立ち直る時期は意外に早かったというケースもありました。

 つまり、子どもがのめりこんでいる世界にひとりぽっちにしておくのではなく、親も自然体で入ってみるということが大切なのです。

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